電子レンジは毎日のように使うのに、電気代がいくらかかっているのかは請求書からは分かりません。オーブン機能まで付いた機種なら、その分だけ電気を食っているはずだ、という感覚はあります。ただ、その「その分」がいくらなのかを示した数字は、カタログにも請求書にも出てきません。
資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトは、電子レンジについて年間消費電力量を「レンジ部」と「オーブン部」の2列に分けて公表しています。これを使えば、公表されている年間電気代のうち、どれだけがあたための分で、どれだけがオーブンの分なのかを機種ごとに割り出せます。この記事では、その内訳を出します。
先に結論
内訳が両方とも掲載されている481機種では、年間電気代の中央値が1,960円、そのうちオーブン部は340円でした。5年に直すとオーブン部は1,700円、あたため(レンジ部)は8,000円です。電子レンジの電気代は8割があたための分で、オーブンを持つかどうかで動く金額は思ったより小さいことになります。
この記事の調べ方
この記事は、資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトが公表している年間電気代を集計して比較したものです。編集部は製品を実際に使用しての評価は行っていません。計算の手順とデータの取得方法は計算方法にまとめています。
この記事では販売価格の金額を載せていません。価格は各商品の販売ページで確認してください。電気代の差と、機種数の比較だけで組み立てています。
電子レンジの年間電気代は、何にいくらかかっているか
まず金額の水準です。内訳を読み取れた742機種(24社)の年間電気代は、1,480円から2,140円まででした(2026年8月9日取得のデータ)。中央値は1,900円です。いちばん少ない機種といちばん多い機種の差が年660円しかない、というのが電子レンジの特徴です。冷蔵庫やエアコンのように、機種を変えると年に数千円動くカテゴリではありません。
そのうえで、この1,900円前後の中身を分けます。掲載データが2列に分かれているので、あたためだけの分とオーブンだけの分を、機種ごとに切り分けられます。
内訳の金額の出し方
省エネ型製品情報サイトが公表しているのは年間電気代の合計までで、レンジ部とオーブン部それぞれの金額は掲載されていません。この記事の内訳の金額は、同じサイトに機種ごとに掲載されているレンジ部とオーブン部の年間消費電力量の比で、年間電気代を割り振って当サイトが計算したものです(10円未満は四捨五入)。政府が公表している金額ではありません。また、この電力量がどれだけの使用回数・使用時間を前提に算出されたものかは掲載データからは読み取れないため、これ以上細かく分けることはできません。
なお、電子レンジとして登録されている機種のうち49機種は、この按分ができないため集計から外しています。どちらかに寄せる推測はしていません。
- 内訳の合計が年間消費電力量と一致しない:49機種
レンジ部とオーブン部、それぞれ年いくらか
この記事が分けているもの
比べているのは別の製品どうしではなく、同じ1台の年間電気代をレンジ部とオーブン部に分けたものです。金額は、内訳が両方とも掲載されている電子レンジ481機種(20社)を集計したものです。大きさや機能が違うものは電気代も違って当たり前なので、機種どうしの優劣はここでは扱いません。
この記事の前提
この記事では、電子レンジを5年使う前提で合計を計算しています。5年は、当サイトがこのカテゴリに共通で使っている期間で、政府や業界団体が定めた数値ではありません。使用年数が違えば結論も変わるため、10年使う場合の金額も表に併記しています。
年間電気代は、資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトに掲載されている金額をそのまま使っています。当サイトが独自に単価を掛けて計算したものではありません。政府データに金額が無い条件(使い方を変えた場合など)を試算するときだけ、1kWhあたり31円で計算しています。
| レンジ部 | オーブン部 | |
|---|---|---|
| 年間の電気代(中央値) | 1,600円 | 340円 |
| 年間電気代に占める割合(中央値) | 82.3% | 17.7% |
| いちばん少ない機種 | 1,460円 | 180円 |
| いちばん多い機種 | 1,770円 | 600円 |
| 消費電力量の中央値 | 59.2kWh | 12.5kWh |
| 5年の合計(中央値から) | 8,000円 | 1,700円 |
| 10年の合計(参考) | 16,000円 | 3,400円 |
出典:「省エネ型製品情報サイト」(経済産業省資源エネルギー庁)(https://seihinjyoho.go.jp/ 2026年8月9日利用)を加工して作成。内訳の金額は、掲載されている年間電気代を内訳の年間消費電力量の比で割り振って当サイトが計算したものです(10円未満は四捨五入)。
ここは誤解されやすい点です
上の表の内訳の中央値を足すと1,940円ですが、年間電気代そのものの中央値は1,960円です。中央値は足したり引いたりできない数字なので、この2つは一致しません。機種ごとに見れば内訳の合計は必ず年間電気代と一致しますが、真ん中の機種は項目ごとに別の機種になるためです。
5年でレンジ部に払う電気代
8,000円
年間電気代のうちレンジ部の中央値 1,600円 × 5年です。レンジ部は機種によって年1,460円から1,770円まであり、その幅は5年で1,550円になります。
年間電気代に占めるレンジ部の割合(中央値)
年間電気代の中央値 1,960円(5年で9,800円)のうち 約82% がレンジ部です。
金額の大きいほうはあたためです。オーブン部は年340円で、5年ぶんを足しても1,700円にしかなりません。オーブン付きを選ぶと電気代が跳ね上がる、という金額の動き方にはなっていない、ということです。
そのオーブン部が機種によってどこまで動くのかが下の図です。いちばん少ない機種で年180円、いちばん多い機種で年600円で、幅は年420円ありました。5年に直すと2,100円です。棒が高くなっている300円台前後に多くの機種が集まっていて、600円まで届く機種は右端にわずかしかありません。
出典:「省エネ型製品情報サイト」(経済産業省資源エネルギー庁)(https://seihinjyoho.go.jp/ 2026年8月9日利用)を加工して作成。内訳の金額は当サイトが割り振って計算したものです。
内訳が片方だけの電子レンジについて
オーブン部の掲載が無い機種:261機種(21社)。この機種群の年間電気代は1,480円から1,630円で、中央値は1,610円(5年で8,050円)でした。この261機種は、掲載されているスペックでは省エネ法区分=Aという共通点があります。
この機種群は内訳に分けられないため、上の表の集計には入れていません。
この261機種の中央値1,610円と、内訳が両方ある481機種の中央値1,960円を見比べたくなりますが、この2つの差を「オーブンが付くと年350円上がる」と読むことはできません。庫内の大きさも想定されている使い方も違う機種群どうしの比較になるためです。オーブンの分だけを取り出した金額は、上の表の340円のほうです。
大きさが変わると、内訳も変わるのか
庫内容量の帯ごとに、同じ集計をしたのが下の表です。ここに出ているのは内訳が両方とも掲載されている機種だけで、機種数が30に満たない帯は落としています。
| 総庫内容量(L) | 機種数 | 年間電気代の中央値 | うちレンジ部 | うちオーブン部 | オーブン部の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0〜20L | 181機種 | 1,970円 | 1,680円 | 280円 | 14.4% |
| 20〜26L | 101機種 | 1,900円 | 1,560円 | 380円 | 19.1% |
| 26〜30L | 64機種 | 1,910円 | 1,560円 | 390円 | 20.5% |
| 30L以上 | 135機種 | 1,940円 | 1,570円 | 350円 | 17.7% |
出典:「省エネ型製品情報サイト」(経済産業省資源エネルギー庁)(https://seihinjyoho.go.jp/ 2026年8月9日利用)を加工して作成。内訳の金額と割合は当サイトが割り振って計算したもので、5年の合計はそれに年数を掛けたものです。
年間電気代の中央値は、いちばん小さい0〜20Lの帯が1,970円、いちばん大きい30L以上の帯が1,940円でした。庫内が広くなっても、年間電気代の中央値はほとんど動いていません。むしろ0〜20Lの帯のほうが30円多い数字になっています。冷蔵庫のように「大きいほど電気を使う」という並び方はしていない、ということです。
動いているのは内訳の配分のほうです。オーブン部は0〜20Lの280円から26〜30Lの390円まで、割合では14.4%から20.5%まで広がります。逆にレンジ部は0〜20Lが1,680円といちばん多く、20L以上の3つの帯では1,560円から1,570円に収まりました。ただし、なぜ小さい帯のほうがレンジ部の金額が多くなるのかは、掲載データからは読み取れません。庫内が狭いほど効率が落ちるのか、その帯に別の設計の機種が集まっているのかを、当サイトは確かめられていません。
条件で変わる:あなたの場合はいくらか
ここまでの金額は、政府が公表している年間電気代を公表されている電力量の比で割り振ったものです。ご自宅の条件が前提と違えば、金額はずれます。効いてくる条件を3つ挙げます。
契約している電力プランの単価が違う場合
掲載されている消費電力量の中央値は、レンジ部が59.2kWh、オーブン部が12.5kWhです。ここにご自宅の単価を掛ければ、掲載金額とは別に、自分の条件での金額が出せます。
| 1kWhあたりの単価 | あたため(年) | オーブン(年) | 2つの合計(5年) |
|---|---|---|---|
| 25円 | 1,480円 | 313円 | 8,965円 |
| 31円(当サイトの目安) | 1,835円 | 388円 | 11,115円 |
| 40円 | 2,368円 | 500円 | 14,340円 |
この表について
この表は、消費電力量の中央値(レンジ部59.2kWh・オーブン部12.5kWh)に当サイトが単価を掛けて計算したものです(1円未満は四捨五入)。政府が公表している年間電気代を割り振った金額(あたため年1,600円・オーブン年340円)とは前提が違うため一致しません。掲載されている金額のほうは、政府が定めた条件で計算されたものです。単価が40円の契約なら、2つを合わせて5年で14,340円という見え方になります。
オーブンをほとんど使わない場合
オーブン機能が付いていても、あたためにしか使わない家では、この340円はそのままはかかりません。掲載されている電力量は、オーブンも一定の回数使う前提で算出された数字だからです。ただし何回使う前提なのかは掲載データに書かれていないため、「使わなければ年何円減るか」を当サイトは示せません。分かるのは、オーブン部として公表されている分が年340円・5年で1,700円という上限のほうです。
5年より長く使う場合
10年使うなら、あたためは16,000円、オーブンは3,400円になります。電子レンジは工事をともなわず買い替えやすい道具なので当サイトは5年を既定にしていますが、長く使うつもりなら10年の数字のほうを見てください。それでも、機種の違いで動くのはオーブン部の幅(年180円〜600円)の範囲で、10年でも4,200円ぶんです。
電気代を減らすには、どこを見るか
年間電気代の幅が660円しかないカテゴリなので、電気代を理由に機種を選ぶ余地は大きくありません。そのうえで、掲載データから言えることだけを並べます。
あたため中心で使う人
見る欄は「年間消費電力量・レンジ部」です。481機種の中央値は59.2kWhで、金額に直すと年1,600円。ここが小さい機種を選ぶと、電気代の8割を占めるほうが減ります。ただし動く幅は年1,460円から1,770円までで、5年でも1,550円ぶんです。
オーブンも使うつもりの人
オーブン部は年340円、5年で1,700円です。オーブンが付くことで増える電気代は、この範囲に収まる金額だと読めます。オーブンを使うかどうかは、電気代より庫内の広さや天板の使い勝手で決めたほうが、金額の大きさとしては筋が通ります。
単機能のレンジで足りる人
オーブン部の掲載が無い261機種の年間電気代は、中央値1,610円・5年で8,050円でした。幅も1,480円から1,630円と狭く、どれを選んでも金額はほぼ同じという並び方です。
ただし、「レンジ部の消費電力量が少ない機種を選ぶ」という見方には不利な点があります。この欄が少ない機種の出力(W数)やあたための速さまで同じとは限りませんが、その関係は掲載データからは確かめられません。省エネ型製品情報サイトに載っているのは消費電力量と省エネ基準達成率で、1回あたりの所要時間は載っていないためです。また、この記事の内訳の金額は当サイトが割り振ったもので、政府が公表しているのは年間の合計金額までです。オーブン部だけを取り出した金額は、どのメーカーのカタログにも載っていません。
よくある質問
電子レンジの電気代は1ヶ月でいくらですか
内訳が両方掲載されている481機種の中央値である年1,960円を12で割ると、月あたり約163円になります。ただしこれは1年ぶんをならした金額で、使う回数が多い月と少ない月の違いは含んでいません。掲載データは年間の合計しか公表しておらず、月ごとの内訳は出せません。
オーブンを使うと電気代はどれくらい増えますか
公表されている電力量から割り振ると、オーブン部は年340円(5年で1,700円)でした。機種によって年180円から600円までの幅があります。ただしこれは掲載データが前提にしている使用回数での金額で、実際に何回使ったときの金額かは掲載データからは読み取れません。
この内訳の金額は誰が計算したものですか
当サイトです。資源エネルギー庁が公表しているのは年間電気代の合計までなので、同じサイトに載っているレンジ部・オーブン部の年間消費電力量の比で、その金額を割り振りました(10円未満は四捨五入)。政府が「オーブン部は年340円」と公表しているわけではありません。
庫内が大きい電子レンジほど電気代は高いですか
今回集計した範囲では、そうなっていませんでした。年間電気代の中央値は0〜20Lの帯が1,970円、30L以上の帯が1,940円で、ほとんど差がありません。動いていたのは内訳の配分のほうで、オーブン部は0〜20Lの280円から26〜30Lの390円まで広がります。
電子レンジの年間電気代はどのくらい違いますか
内訳を読み取れた742機種では、年1,480円から2,140円まででした。差は年660円です。5年に直しても3,300円ぶんなので、機種選びで動く金額は小さいカテゴリになります(省エネ型製品情報サイトの掲載値を集計・2026年8月9日取得)。
単機能レンジとオーブンレンジ、電気代はどちらが少ないですか
掲載されている中央値は、オーブン部の掲載が無い261機種が1,610円、内訳が両方ある481機種が1,960円です。ただしこの2つは庫内の大きさも想定されている使い方も違う機種群なので、差額をそのまま「オーブンが付くと年350円上がる」と読むことはできません。オーブンの分だけを取り出した金額は年340円のほうです。
49機種を集計から外したのはなぜですか
レンジ部とオーブン部の年間消費電力量を足しても、同じ機種の年間消費電力量と一致しなかったためです。割り振りの分母が確かめられない機種を混ぜると、内訳の合計が年間電気代とずれます。どちらが正しいかを決められないので、推測で寄せずに外しました。
自分の電力プランの単価で計算し直せますか
できます。掲載されている消費電力量の中央値はレンジ部59.2kWh・オーブン部12.5kWhなので、ここにご自宅の単価を掛けてください。本文の表に25円・31円・40円の場合を載せています。ただしその金額は、政府が公表している年間電気代とは前提が違うため一致しません。
省エネ基準達成率が高い機種を選べばいいですか
この記事では、達成率と内訳の金額の関係を見ていません。省エネ型製品情報サイトには達成率の欄もありますが、金額との突き合わせを今回の集計に入れていないため、この記事から言えることはありません。金額を直接見たいなら、レンジ部とオーブン部の年間消費電力量の欄が確実です。
比較の期間が5年なのはなぜですか
当サイトが電子レンジに当てている期間が5年で、政府や業界団体が決めた年数ではありません。10年で考えるなら、あたためは16,000円、オーブンは3,400円になります。
待機時消費電力ゼロの機種を選ぶと安くなりますか
掲載データからは読み取れません。省エネ型製品情報サイトには「待機時消費電力ゼロ」という欄がありますが、その有無で年間電気代がいくら変わるかを出し分けた数値は載っていないためです。この記事の金額は、掲載されている値をそのまま集計したものです。
まとめ
電子レンジの年間電気代は、内訳を読み取れた742機種で1,480円から2,140円まででした。中央値は1,900円です。内訳が両方掲載されている481機種で分けると、年1,960円のうちあたため(レンジ部)が1,600円、オーブン部が340円で、割合にすると82.3%と17.7%でした(2026年8月9日取得)。
5年に直すと、あたためは8,000円、オーブンは1,700円です。オーブン付きを選ぶことで増える電気代は、5年で1,700円という大きさの話になります。庫内容量の帯を変えても年間電気代の中央値は1,900円台のままで、動くのは内訳の配分のほうでした。電子レンジは「電気代で選ぶ道具」ではなく、庫内の広さと使い方で選んで差し支えない金額の幅に収まっています。そのうえで少しでも減らしたいなら、見る欄は年間消費電力量のレンジ部です。
この記事の計算の手順は計算方法に、使っているデータ源の一覧はデータの出典一覧にまとめています。
同じ台所には、電子レンジより動く金額の大きい家電も並んでいます。キッチンで使うものの、買ったあとにかかるお金を比べた記事もまとめています。
出典・データ取得日
- 年間電気代・レンジ部・オーブン部の年間消費電力量(掲載値をそのまま使用):「省エネ型製品情報サイト」(経済産業省資源エネルギー庁)(https://seihinjyoho.go.jp/ 2026年8月9日取得)、PDL1.0
- レンジ部・オーブン部の金額:掲載されている年間電気代を、同じく掲載されているレンジ部・オーブン部の年間消費電力量の比で割り振って当サイトが計算(10円未満は四捨五入。政府が公表している金額ではありません)/集計日 2026年8月12日
- 機種数・中央値・分布、5年および10年の合計:「省エネ型製品情報サイト」(経済産業省資源エネルギー庁)(https://seihinjyoho.go.jp/ 2026年8月9日取得)を加工して作成/集計日 2026年8月12日
- 単価別の試算(25円・31円・40円):レンジ部59.2kWh・オーブン部12.5kWhに単価を掛けて当サイトが計算(1円未満は四捨五入。政府の年間電気代とは前提が違うため一致しません)
- 1ヶ月あたりの金額(約163円):年1,960円を12で割って当サイトが計算(使う回数による増減は含みません)
- 省エネ法区分:「省エネ型製品情報サイト」(経済産業省資源エネルギー庁)(https://seihinjyoho.go.jp/ 2026年8月9日取得)、PDL1.0。掲載値をそのまま使用
- 集計から外した49機種:用途別の内訳が掲載されていない、または内訳の合計が年間消費電力量と一致しなかった機種(当サイトが除外・内訳は本文に記載)
- 電力量あたりの目安単価 31円/kWh:公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会 目安単価(2022年7月22日改定)/当サイトの前提として使用・2026年8月8日設定
- 比較期間5年:当サイトがこのカテゴリに共通で使っている期間(政府・業界団体が定めた数値ではありません)

